翻訳を楽しもう!(7)/「浴室」の謎
2017.10.26
今日は、ミステリー仕立てのタイトルにしてみました。
例文はこちらです。
①我家的浴室很小。
ポイントは、「浴室」の訳し方。日本語にも同じ言葉があるからと言って、油断はできません。
このイラストもトラップです。ひっかからないでくださいね。
さあ、あなたなら、どう訳しますか?
解説
日本語にも「浴室」という言葉があります。でも、これは日常会話ではあまり使いませんね。例えば、「そこ」で転んだ時、私たちは何と言うのでしょうか?
最初に思い浮かべるのは「風呂(場)」。
②風呂(場)で転んだ。
なら自然ですね。でも、問題は、「風呂場」と言っても「浴室」と言っても、日本人はバスタブのついている区画を思い浮かべてしまうということ。
台湾では、ほとんどの場合「浴室yùshì」にはシャワーしかありません。しかも、トイレや洗面台もワンセットになっていることが多い。
だから、「浴室yùshì」を「風呂場」「浴室よくしつ」と訳してしまうと、イメージするものが、変わってしまうのです。もちろん、高級な物件に住んでいる場合は別ですが、一般的にはこんな関係を想定するとよいかと思います。
◎日本語「風呂場」「浴室」:バスタブ(+シャワー)
◎中国語「浴室」:トイレ+洗面台+シャワー(+バスタブ)
「洗澡xǐzǎo」も同じ。普通は、「お風呂に入る」「入浴する」と訳しますが、台湾の人にとっては、「シャワーを浴びる」の場合が大半です。
こんな風に、現実の習慣や文化が違う時、それをどこまで訳すのか、しょっちゅう悩みます。ビジネス文書であれば、注釈をつけてできるだけ正確に訳すこともありますが、あまり注釈が多いと読みにくい。
でも、その反面、丁寧に訳そうとしたことがきっかけで、それまで見過ごしていた習慣・文化の違いに気づき、ワクワクすることもあります。
そんなことを考えながら、今日の参考訳はこれにしました。
★うちのバスルームは狭い。