台湾の選挙運動にまつわるちょっと不思議な習慣を、台湾人スタッフのキリンちゃんが書いてくれました。

日中対訳でどうぞ。

 

不一樣的選舉-台灣的競選歌曲(新しい選挙の形―台湾の選挙ソング)

台灣因為做為華人區域民主化的代表國家之一,選舉期間往往有各國的參訪團前來做研究或觀察。
其中,有一項台灣選舉很有趣的特徵-競選歌曲。
華人エリアを代表する民主国家のひとつである台湾には、選挙が始まると、研究や視察を目的とした各国の訪問団が、次々にやってきます。
彼らの興味を引く独特の習慣のひとつ、それが台湾の選挙戦につきものの「選挙ソング」なのです。

台灣傳統的選舉,尤其是解嚴前黨外時期,對於政治因素而滯留海外的黨外人士而言,訴說對故鄉思念的「黃昏的故鄉」成為多數人對於政治、選舉歌曲最初的印象,情感濃厚而哀戚,也多少象徵著當時台灣的政治氛圍。
その昔、とりわけ、戒厳令が解除される前の「党外時代(国民党以外の政党が公認されていなかった時代)」に、政治的な要因で海外生活を余儀なくされていた「党外人士(国民党以外の人物)」にとって、初めての選挙ソングと言えば、故郷への懐かしさを歌った「赤い夕陽の故郷」でした。
溢れる思いと哀感の込められたこの曲は、当時の台湾の政治環境を象徴するものとしてもよく知られています。

在1994年,前總統陳水扁在競選台北市長時,算是為台灣競選歌曲開啟新的一頁,專門為了一次選舉,一個候選人所量身打造的歌曲。
1994年の台北市長選から、台湾の選挙ソングの歴史に新たな1ページが加わりました。出馬した陳水扁(後に総統就任)が、その選挙のためだけの、そして特定の候補者のためだけの、オリジナルソングを作らせたのです。

台北市長的選舉,所以有了「台北新故鄉」;試圖強調候選人與妻子一路攜手的努力過程,做出了「春天的花蕊」這首溫馨的對唱曲,並在每次候選人或是候選人妻子上台演講時,出場的最佳代表曲,也往往將演講會場的氣氛炒至最高點。
台北市長選だからというので、「新しい故郷台北」という曲ができました。
妻と手を携えて頑張る姿を強調しようとした「春の蕊」という曲もあります。
候補者やその妻が講演会の舞台に登場する際には、決まってこの暖かい曲調のデュエットソングが流れ、会場全体のムードが最高潮に達したのでした。

從此之後,不管任何政黨,紛紛開始嘗試這種全新的選舉方式,一改過去較為悲傷的政治氛圍,強調政治的新氣象,為特定政治人物選定出場曲,為每次的選舉與訴求製作全新的主題曲。
それからは、どの政党も、この新しい選挙運動のスタイルを取り入れるようになり、それまで、どちらかというと悲壮感のつきまとうことが多かった政治の世界が、一転、新たなイメージで彩られるようになりました。
政治家毎に、その登場を盛り上げるためのテーマソングが決められます。
選挙の度に、その時にアピールしたいことに合わせ、新しいオリジナルソングが作られるのです。

演變至今,從2014年的五都選舉開始,更出現了由民眾投稿歌曲,網友投票的互動式競選歌曲票選活動,更大大的縮短選舉與民眾的距離,讓人人都能真正參與選舉。
その後も進化が続き、2014年の統一地方選挙からは、インターネットを利用し、人々の投票によって選挙ソングを選ぶというキャンペーンも登場しました。
それによって、選挙が国民にとってぐっと身近なものとなり、誰でも選挙に関わることができるようになったのです。

2000年の総統選のために陳水扁陣営が作成した選挙ソング。
(何とアルバム!?)
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