台湾ドラマで中国語

台湾ドラマから、気になるセリフを拾って解説しています。スラング、慣用句、成語、日本語との比較、音声と字幕のズレ、文法、社会問題等、様々な角度から中国語の面白さをお伝えします!

台湾ドラマで中国語、目次

「日中対照用語集(ピンイン付):台湾ドラマの基礎用語」も、どうぞ

2.莫非,這就是愛情(15)/愛の数え方

「愛」がテーマのこの作品は、愛の数え方だって教えてくれます。

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(画像はYouTube三立華劇からお借りしました)

這份愛有去無回了
その愛は一方通行だね

主人公が、「女の子のLINEの対応でその愛が実るがどうかがわかる」という友人の言葉を思い出している場面です。

注目したのは「這份愛」という言い方。

中国語では「この/その〇〇」と言いたい時、「這」と〇〇に相当する名詞の間に、〇〇を数えるのに相応しい単位(量詞)を入れます。

次のような例ですね。

人/この人、その人

票/この切符、その切符

衣服/この服、その服

人は「」で数え、票(チケット)は「」で数え、衣服は「」で数えるのです。

だから、字幕の「這愛」という言い方を見ると、愛を「份」で数えることもあるのだとわかります。

「份fèn」はワンセットになっているものを数える単位です。資料や新聞等を「一部、二部」と数える時の他、料理を注文する時にも使います。「一人前」と訳されることもありますが、それは定食等でたまたまそうなるだけ。回転寿司や飲茶の「一份」は二〜三個かもしれないし、大皿料理なら一人では食べ切れない。あくまでもそのお店で決められたワンセットです。

この「份」が「愛」に使われるとちょっと皮肉を込めた言い方に聞こえますね。この形は「這」と量詞の間に「一」が省略されているので、「這(一)份愛」は「この(ワンセットの)愛」。だから、何セットかあるうちのひとつという感じがします。

他に、「這愛」「這愛」という言い方もあります。「段」は段落等、区切られた一部に使うので、愛の終わりを意識した文脈でよく見かけます。「這種愛」は、愛の種類を問題にしています。その愛の形に疑問を感じているという使い方がいくつかありました。

份、段、種」のいずれを使うにしても、愛を数えようとした時点で、ネガティブな方向に話が進むことは決まっているのかもしれませんね。

(2018.6.24)