外国語の発音をマスターするためには、口の開け方、舌先の位置、息の出し方をコントロールしながら、普段母語で話している時とは違った音を出す練習が必要です。
 

これは、ちょうど、全く泳げない人が、クロールの練習をするのに似ています。

 

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クロールを練習する場合、最初はバタ足から。それが上手になったら、今度は手のかきを加える。ところが、手を動かそうとすると、足の動きが止まってしまうこともあります。

手と足が上手く動かせるようになったら、今度は息継ぎ。でも、顔を上げようとした瞬間、手も足も止まってしまうこともあるのです。

そうこうしているうちに、手足の動きと息継ぎをバランスよく繰り返して、少し長い距離が泳げるようになります。発音練習で言うと、これが、外国語の発音をある程度マスターした状態です。

ところが、子供の頃から泳げる人は、どこで手足を動かし、どこで息継ぎして等と考えることもなく、自然に水に身体を浮かせて前進することができますね。発音練習で言うと、これは母語を話している状態です。

 

水泳が全身の筋肉をコントロールする練習だとすれば、発音練習は、口の周りの筋肉をコントロールする練習。バタ足と手のかきと息継ぎが、口の開け方と舌先の位置と息の出し方に相当すると思ったらよいのです。

ひとつの外国語の発音をマスターしたら、他の外国語の発音も比較的楽に真似られるようになります。それは、自分の口の周りの筋肉の動きを、自分でコントロールできるようになるからです。クロールができるようになったら、平泳ぎ背泳ぎも、比較的楽にできるようになるのと似ています。
 
大人になって、いきなりプールに投げ込まれても、なかなか泳げるようにはならないのと同様、発音練習も見よう見まねでは、なかなか長い距離を泳げるようにはなりません。面倒でも、少しずつ自分の口の周りの筋肉を正しく動かすトレーニングをするのが、結局は近道なのだろうと思います。

もちろん、先生について、ちゃんと練習するのがお勧めです。

(2019.1.28)