2017.10.08
台湾人スタッフから、こんな質問を受けました。
「“水餃子”を“みずぎょうざ”って読まないのはなぜ?」
「“水羊羹”は“みずようかん”なのに」
時々、こんな風に思いがけない方向から、質問が飛んでくるので油断なりません。
さあ、どうして「水餃子」を「みずぎょうざ」って読んではいけないのでしょうか?
まず、「水羊羹」から。
「ようかん」って、和菓子の類だと思っているけど、改めて考えると「羊羹」の音読み。でも、中国語の「羹gēng」は濃厚なスープのことだから、「羊羹yánggēng」は「羊のスープ」になっちゃいます。
なぜ、これがお菓子になっちゃったのでしょうか?
元々「羊羹」は羊のスープを冷まして作ったものでした。それが日本に伝わった後、肉食を禁じられている禅僧が、植物性の材料だけを使って再現したお菓子が「ようかん」なのだとか。
羊羹屋さんの老舗、虎屋さんのサイトにもちゃんと説明がありましたよ。
そうすると、「水羊羹」の「水(みず)」は訓読み、「羊羹(ようかん)」は音読みということになります。ちょっと変則的(湯桶読み)ですが、お菓子の「ようかん」が日本で生まれたという背景を考えると、訓読みの「みず」との組み合わせの方が自然だったのかもしれません。
何より、日本語の「みず」は、ある温度以下のものしか指さないので、ひんやりした感じを表すには、ぴったりです。(翻訳を楽しもう!(1)/「水」と言って出てくるもの)
中国語で「水果shuǐguǒ」はフルーツのこと。これが日本語になると「水菓子(みずがし)」。こちらもひんやり感が伝わりますね。
「水餃子(すいぎょうざ)」の方は、全部音読みなので原則通り。もし「みずぎょうざ」と読んでしまうと、何だか冷えきったものが出てきそう。熱々のものをふうふう言いながら食べる美味しいイメージが台無しです。
「水餃shuǐjiǎo」を始め、中国語の料理名に「水shuǐ」がついているのは、ゆでたり煮込んだりするもの。冷たいものではありません。四川料理には、「水煮魚shuǐzhǔyú」というのもあります。唐辛子や花椒を効かせて、川魚と豆もやしを煮込んだもので、私の大好物!これももちろん熱々のものが出てきます。
日本語の「水みず」と中国語の「水shuǐ」の違いは、こんなところにもあったのですね。