翻訳を楽しもう!(5)/愛ちゃんのおノロケ

2017.10.21

「翻訳を楽しもう!目次」

 

ママになった愛ちゃんのことは、台湾でも色んな形で報道されています。その時に引用されるのが、中国語ブログの微博。

愛ちゃんのブログ(微博から)

ハート等の絵文字をたくさん使った画面を見るだけで、アツアツぶりがよくわかりますが(愛ちゃんのおノロケぶりはこちらにも)、中身も負けていません。今日翻訳してみたいのは、この言葉です。

①我嫁对人了。/我嫁對人了。

自分では恥ずかしくとても口にできないような、あまーい訳を考えてみましょう!

 

解説

「嫁jia4」は「嫁ぐ、お嫁に行く」。この訳し方については、以前もとりあげましたね。

今日のポイントは、その後の「對」です。意味は「正しい」。yesと言いたい時の返事にも使いますが、元々は「あなたの言っていることは正しい」という意味です。

これを動詞の後ろにつけると、「ある動作を正しく行った」という意味の結果補語になります。

 

でも、実は反対の意味の「~錯」の方がよく使われるし、訳しやすい。よく聞くのは、次のような例です。

②打錯(電話をかけ間違える、文字の入力を間違える)
③說錯(言い間違える)
④走錯路(道を間違える)

( )の日本語は直訳を書いていますが、会話では「間違えた」だけですますことが多いかと思います。(中国語では、動詞からちゃんと言うのが普通です。)

今日の文①も意味を逆にして、次のように言うことができます。

⑤嫁錯人了(結婚相手を間違えた)

 

実は、「~對」を使うのは、②~⑤のように間違える可能性があった場合なのです。だから、迷いながらする事には、この形がよく使われます。

⑥猜對了/猜錯了(推測が当たった/推測が当たらなかった)
⑦選對人/選錯人(相手を正しく選んだ/相手を選び間違えた)

 

だから、普段よく使う動詞でも、「~對」をつけると、間違える可能性があった事を示唆します。

⑧吃對了不生病(正しく食べれば病気にならない)

これは健康指南本のタイトル。「~對了」を使うことで、「あなたは間違ってるかもしれない」という裏の意味を読者に示唆しています。だから直訳の(   )を意訳すると、こうなります。

⑨食べ方を間違えなければ病気知らず

ちょっと訳しにくい「~對」も、⑨のように「間違えない」とすると上手く行くことが多いようです。
文法事項として学ぶと難しく思える結果補語。でも、こんな風に並べると、中国語の表現の幅を広げるために役立っていることがわかっていただけるかと思います。

ちょっと、本気で勉強したくなりませんか?
愛ちゃんの「我嫁對人了」という言葉の裏にも、ちゃんと、「間違える可能性もあった」ということが隠されています。

また、淡々とした報告の文章で大人びた印象だった日本語ブログと、上の中国語ブログを比べると、彼女が日本と中国・台湾とで、自分をどう見せて行くのか、上手く使い分けているのがよくわかります。

そういった背景等を頭の片隅に置いて訳してみるといいのかもしれませんね。

 

色んな訳し方がありそうで、ちょっと難しいのですが、私はこんな風に訳してみました。今日の参考訳です。

★あなたの奥さんでよかった。