台湾ドラマで中国語

台湾ドラマから、気になるセリフを拾って解説しています。スラング、慣用句、成語、日本語との比較、音声と字幕のズレ、文法、社会問題等、様々な角度から中国語の面白さをお伝えします!

台湾ドラマで中国語、目次

「日中対照用語集(ピンイン付):台湾ドラマの基礎用語」も、どうぞ

8.稍息立正我愛你(14)/眠りからさめる

 

今回はこんな短いセリフ。でも、日本人にとってはちょっと不思議な形です。

shaoxi22
(Line TV8-1)

睡醒啦
目がさめた?

連日の猛勉強で疲れ果てていた女の子。うっかり好きな男の子にもたれて眠ってしまいます。目覚めた女の子に、男の子がかけた言葉がこれです。

 

面白いのは、「睡醒」という「動詞+結果補語」の形になっているところ。これが今日のキーワードです。

睡醒shuìxǐng(目がさめる)

直訳すると「眠りからさめる」という意味ですが、日本語でこう言うと、まるで童話の世界の眠り姫。中国語では、なぜわざわざ「睡shuì」をつけるのでしょうか?

 

中国語には、こういう「動詞+結果補語」の形が本当にたくさんあります。

例えばこんな例。

吃飽了:お腹がいっぱいになった
喝醉了:酔っ払った

中国語の勉強を始めたばかりの頃は、「吃(食べる)」「喝(飲む)」がなぜ必要なのかがわからなくて、ネイティブに何度も質問しました。

この吃や喝は、つけなきゃ駄目なの?

そうすると、ほとんどの人は「つけなくても大丈夫!」と言います。でも、実際はほとんどついてる。

全然、大丈夫じゃない!

お腹いっぱいなのは食べたから、酔ったのは飲んだから、っていうそんな当たり前のことを、なぜわざわざ言葉にして言うのか。日本語の感覚からすると、とても無駄に思えてしまいますね。

 

「疲れた」も、次のようにその理由から言うことが多い。

走累了:歩き疲れた
打累了:打ち疲れた(球技等)

 

(8)でも書いたように、「間違えた」もどんな動作なのか、はっきり言葉にします。

寫錯了:書き間違えた
聽錯了:聞き間違えた

これは、中国語が「誰が何をする」という形を好むから。だから、主語も省略しにくい。一方日本語は、「何がどうなった」という結果や状態だけを伝えることの多い言葉です。

 

「文書が書き換えられた」

という「誰が」のない文が、堂々といつまでもまかり通るのも、日本語ならではの特徴かもしれません。

(2018.4.1)