台湾ドラマで中国語

台湾ドラマから、気になるセリフを拾って解説しています。スラング、慣用句、成語、日本語との比較、音声と字幕のズレ、文法、社会問題等、様々な角度から中国語の面白さをお伝えします!

台湾ドラマで中国語、目次

「日中対照用語集(ピンイン付):台湾ドラマの基礎用語」も、どうぞ

4.荼蘼ー植劇場(3)/心を鬼にする

今日は、このドラマの重たいテーマを象徴するようなセリフです。

台湾ドラマー植劇場3

你真的可以狠下心
(君は本当にそんな酷いことができるの)

左の男の子が恋人に問いかけています。「狠心hen3xin1」は、「残酷だ、酷い」と訳されますが、「狠下心」「狠著心」の形で「心を鬼にする」という意味になります。つまり、最初から鬼だったわけではないのです。

それは、この後の女の子のセリフからもわかります。

因為你不狠心,所以我就要狠心
(あなたが残酷じゃないから、私が残酷になるしかない)

彼女がしようとしている事が正しいかどうかは別として、私は彼女のこのセリフに共感してしまいました。

周りのみんなに優しくしたいと思うと、スーパーマンじゃない人間は、結局、大切にすべき人の大切な一瞬に、ひどく残酷なことをしてしまう。「心を鬼にする」ことと、結果として残酷なことをしてしまうのとを比べると、自覚がない分、相手も責めにくい分、後者の方が酷いのだろうと思うのです。

誰かに嫌われても、後ろ指を指されても、時には「心を鬼にする」ことで、大切な誰かと自分を守る。その覚悟がこの男の子には全然ないから、鬼の役割も天使の役割も、全部女の子に背負わせることになる・・・なんて、久しぶりにかなり感情移入してしまったドラマです。

(2017.2.19のブログ記事に加筆修正しました)