台湾ドラマで中国語
台湾ドラマから、気になるセリフを拾って解説しています。スラング、慣用句、成語、日本語との比較、音声と字幕のズレ、文法、社会問題等、様々な角度から中国語の面白さをお伝えします!
●「日中対照用語集(ピンイン付):台湾ドラマの基礎用語」も、どうぞ
1.後菜鳥的燦爛時代/邦題:華麗なる玉子様(8)/「あの〇〇」からわかる気持ち
今日は、前回の記事でご紹介したセリフを少し前から並べてみます。
(画像は全てLine TVからお借りしました)
セリフを書き出してみましょう。
鐘雨棠 那個 傢伙 現在 應該 還 跟 那包 泡麵 在 一起 吧
(鐘雨棠のやつ、今もまだあの“ラーメン野郎”と一緒に違いない)
ご注目いただきたいのは、ピンクと緑の文字の部分。
那個 傢伙 /あのやつ⇒あいつ
那包 泡麵 /あのラーメン
日本語の「この、その、あの、どの」に相当する中国語は、「這,那,哪+量詞」。「量詞」というのは、物を数える時の単位です。「この、その、あの」の時にも、後ろに来る名詞の種類によって、変化するのがちょっとややこしい(でもそこがおもしろい)。例えば、こんな感じ。
この人/あの人/どの人・・・這個人/那個人/哪個人
この本/あの本/どの本・・・這本書/那本書/哪本書
この切符/あの切符/どの切符・・・這張票/那張票/哪張票
(文法の説明は、過去記事「簡単な例文見つけてきました⑦:この味好きだなあ。」をご参照ください)
“ラーメン野郎”というのは、アーロン扮する紀文凱の恋敵「王子誉」のあだ名。(詳細は過去記事「台湾ドラマで中国語:インスタントラーメン」をご参照ください)。
思いを寄せる鐘雨棠のことを言う時には、ちゃんと人を数える時の単位である「個」を使って、「那個 傢伙」と言っているのに、恋敵をあだ名で呼ぶ時は、インスタントラーメンを数える時の“~袋(ふくろ)”に相当する量詞の「包(bāo)」を使っています。文法としてはこれで正しいけど、そこまで徹底しなくても、と笑えてしまいました。
台湾ドラマのストーリーや美形の出演者を眺めるのも充分楽いけれど、シナリオに隠されたこんな言葉の仕掛けがわかると、もっともっと楽しめますよ。
(2016.10.27のブログ記事に加筆修正しました)