台湾ドラマで中国語

台湾ドラマから、気になるセリフを拾って解説しています。スラング、慣用句、成語、日本語との比較、音声と字幕のズレ、文法、社会問題等、様々な角度から中国語の面白さをお伝えします!

台湾ドラマで中国語、目次

「日中対照用語集(ピンイン付):台湾ドラマの基礎用語」も、どうぞ

7.麻醉風暴/せんせー

2017年に、シリーズ第二作が大評判になったドラマですが、見てみようと思う方は、一作目からがおすすめ。スクリーンショットを撮るのも忘れてストーリーに集中してしまうほど、面白い作品でした。
そんな中で何とか残した数少ないカットのひとつがこれ。

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(画像はLine TVからお借りしました)

老師 待會有個重大創傷的手術
”せんせー”、この後重傷の患者さんの手術です

このセリフは、電話の向こうの若い医師のもの。

病院を舞台にしたこのドラマで、医師同士は、「〇醫師yīshiī」「院長yuànzhǎng」「學長xuézhǎng/先輩」等と呼びあっていますが、この人に対しては、若い医師が「せんせー」と日本語でよびかけるのです。

よく見ると、字幕も学校の先生を表す「老師lǎoshī」になっています。おそらく大学か研修医時代の指導教官なのでしょう。

他のドラマでも、会話の中に簡単な日本語が混じるのはよくあること。字幕では、それが中国語に訳されているのもよくある話。例えば、こんな場面↓

台湾ドラマで中国語:すごい、素晴らしい

でも、この場面は少し違います。

実は、台湾語で、教師と医者は、「せんせー」と呼ばれるのです。日本統治時代の名残りですが、興味深いのは、日本語で「先生」と呼ばれる職業のうち、議員や弁護士には「せんせー」をつかわないこと。

当時、台湾の人たちにとって、教師や医者は普段の生活の中でも接する機会の多い職業。これに対して、議員や弁護士はあまり接点がなかったからでしょう。

ちなみに、「せんせい」じゃなくて「せんせー」とちゃんと長音にして発音しています。文字ではなく、音で伝わった日本語だということが、よくわかりますね。

(2017年11月11日のブログ記事に加筆修正しました)